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不滅の熱球

1955年、東宝、菊島隆三脚本、鈴木英夫監督

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

まず、川上哲治(本人)らが活躍する現在(公開当時)の野球場の姿が映し出され、戦前へと話が移る。

対阪神戦でノーヒットノーランを達成した沢村栄治(池部良)は、その偉業に驕る事なく、その日もマイペースで練習していたが、そんな彼の元に花束が届けられる。
芦屋の貿易商の娘で、東京の大学に通っているファン米内優子(司葉子)からであった。

二人は、静かに愛情を育む間柄であったが、優子の父親(清水将夫)は、出来たばかりの職業野球に対して偏見を持っており、沢村との付き合いを断ち切るため、夏休みで優子が帰省している隙に、勝手に大学に退学届けを出してしまう。

しかし、そんな仕打ちが、逆に優子の気持ちを燃えさせてしまう。

甲種合格で、出征が決定していた沢村の最後の試合となる甲子園に一人で出かけてきたのである。

スタンドを埋め尽くしたファンたちに最後の挨拶をした沢村は、中国戦線へ。

しかし、そこで、沢村は命より大切な右腕を負傷してしまう。
軍医(土屋嘉男)から全快の補償がないと聞かされて落ち込む沢村であったが、敵の襲来に際し、無我夢中で投げた手榴弾に、右手回復の可能性を感じる。

かくして、巨人軍に復帰した沢村であったが、かつての女房役であったキャッチャー内堀(千秋実)も、すでに戦地に赴いて姿はなく、メンバーたちも、川上、吉原、千葉など馴染みのない新人ばかり。

唯一頼りの藤本監督(笠智衆)の期待とは裏腹に、沢村の調子はなかなか元に戻らなかった。新人選手たちは、そんな沢村の事を陰で揶揄する始末。

そんな失意の沢村の元に訪れたのは、彼の負傷を知り、家を飛び出し、単身、叔父(北沢彪)の住む大連まで出向いて、沢村を探しつづけていた優子であった。

二人は晴れて結婚し、調子も元に戻りはじめた沢村は、優子に赤ん坊が出来たと知らされ喜びの絶頂にあるべき日に、予期せぬ二度目の召集令状を受け取ることになる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

伝説の名ピッチャー沢村栄治の短い一生を描く伝記映画。

真面目一筋、職業野球の確立に大きな足跡を残しながら、夢半ばで時代の犠牲となって消えた一青年沢村を、池部良が良く演じており、単なるスポーツものというよりも、哀しい青春物語としても観る事ができる。

若き日の川上哲治や吉原捕手、千葉などを演じているは、ジャイアンツ・ジュニアと呼ばれていた当時の巨人軍の二軍選手たち。
「沢村二世」と称されていた新人ピッチャー中尾という選手を演じているのは佐原健二である。

沢村にひたすら付いていこうとする、優子の健気な姿も哀れをさそう。